2012年08月19日

セキュリティカード ―後の章―

057.JPG

いつ来るかわからない救助を待つ気持ちは
中州に取り残された釣り人の気分で、空腹を意識する。
しかも何らかのいいわけをして頼まねばならないのだからと
手順を頭で反芻しながら待っていたら、
意外と早くエンジェルは来てくれた。

階段側の扉があいた。
エンジェルではなく髭の濃い眼鏡をかけたおじさんだった。
老人が言い訳を言いそびれるうちに
その男性は急いでいるようでそそくさとドアを開けてきたが、
半分ほど開いたそのドアが閉まらないうちにと
老人はあわてて狭い空間に滑り込んだ。
助かったと思ったが、それはまだ困難の始まりに過ぎなかった。



それは以前に増してきつい階段だった。
10数段7kgの包んでない荷物をもって登るのは、
減量中のボクサーも差はあるまじと思うきつさで
カテーテル治療を予定されている老人の兄がこんな目に会えば
このまま心筋梗塞で頓死もあり得べしとも思われたほどであった。

そんな中、玄関に下ろされたテスは
で、それがなにか?という風情で
軽やかにリビングへ消えて行った。
胸がバクつている老人を振り向きもせず・・。  ―暗転―

posted by てす at 15:46| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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