2013年05月31日

脳幹だけじゃない

017.JPG

テスはまだ完治していないみたいだが、
自分の既得権はしっかり主張する。
これは脳幹だけではなく大脳皮質も動員しているのだろう。
ソファーにかけ登るのに躊躇して断念することの方が多い。
脳幹だけなら飛びついて痛みに気付いて中止するところだが
今飛ぶと痛いという記憶が彼を止めさせている。
そして、老人に憐れみを乞う目で見やるところは
演技まで入っていて完全に役者である。

だが、完治していないことも確かなので
老人としては気がかりではある。
まだ皮膚炎の薬はあるのでサマーズへ行くのも躊躇われる。
と迷っていたら、“脊椎症”と書いた薬方があった。
以前の薬が残っていたのだ。
ちょうど皮膚炎の薬は少しづつ減らそうと言われていたので
皮膚炎用薬は隔日投与にし今日は脊椎の痛み止めを与えた。

最近テスは老人がやさしいことを良い事に
ちょっと調子に乗っているように思っていた。
このままではロスが年末帰ってきたときに
なにか言われることは必定だから、なんとかせねばと
焦りを感じて対策を検討し始めた。
だが、テスの既得権は回復させるのは並大抵のことではない。

老人は今頼まれている仕事のことも気になるし、
放っておいても年末が近づいてくるし、
心ばかりが気忙しく対策は実行に至っていないのだ。
ロスに対しては居直る手もあるが、
テスに対しては、これはもうどうしようもなく
躾けが至らないまま今日に至ったとしか言いようがない。
今更簡単に剥がせるような既得権ではないことは
周囲のものは誰でもわかっていた。
だが、老人が科が医者みたいに言われるのはどうにも辛い。
老人はそこでもう一度躾けを試みてみようと考えた。
泥棒が手当たり次第に荒らした後、
途中で気づいて慌てて指紋を消し始めたようなものである。
どこかに必ず消し残しがあるに決まっていた。
といっても、ボケが出始めている老人にはその位しか思いつかなかった。
老人はこの程度の犯罪心理学は心得ている筈だが
一歩振り返ると今何をしようとしていたか、何を求めてこの道をゆくのか
わからなくなる、そんなボケがそれをヴェールで包み込み始めていた。

posted by てす at 14:56| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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