2013年02月24日

飼い犬の品格

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すわ4回目の物忘れと思いきや今度はちょっと違う展開があった。
降りる時に同階の隣人と一緒になった。
このようなことは初めてだったが
隣の人は何する人ぞ という興味はほとんどなかった。
最近の世の中は隣人とのトラブルも多いと聞くが
上階からの騒音被害以外に不満は感じていなかった。
ちなみに上階の住人は駐車場ではお隣さんであることが最近分かった。

隣人に「吠えるかもしれませんから」と
先に行ってくれるようにお願いしたが、
別に構いませんよと、
一向に気にする様子がなく同乗するのは自然の流れだった。

テスの声は聞きなれているからという風な鷹揚さなので
恐縮しながらテスと老人は同席させてもらうことにした。
「何という名前ですか?」出口に近い隣人は振り返って聞いてきた。
もちろん「テスです」と答えたが、老人は一寸慌てた。
犬種を聞かれたかと思ったからだ。
名前を最初に聞く人は珍しいが、
だから次は当然犬種を聞かれると思った。
ポメですと7kgのテスを抱えながら言うのも
恥かしいなと思いながら次の言葉を待っていた。

しかしあくまで優しい隣人は後ろにいるテスを振り返りながら
可愛い、と呟くように言って場を和ませてくれ、顔を前に戻した。
その話し振りがやさしく耳に響いたのかもしれない。
なんか聞き間違えかなと思ったが、
可愛いですねと定番の会話になり、
この方の興味は場を和ませて、
テスをリラックスさせる効果があるかもしれないと老人は期待した。。

だがテスの緊張は高まり始め、
やっぱりだめかと思う絞り出すような声が出始めた。
「ああっ!」と思う間もなく、
けたたましい金属音とともにエレベターは停止した。
警報音が鳴り続け、テスも度胆を抜かれたか静かになった。
隣人は意外と冷静に色々復帰するように
試してくれていたが復旧しなかった。

そうこうしているうちにドアは開いたが警報音はなお鳴り続けていた。
隣人はちょっと驚いて、なぜなの?と
首をかしげながらも落ち着いて降車した。
老人はこのエレベーターに閉じ込められた経験はあったので冷静だった。
その時は付属の電話をかけたら早朝の所為か時間はかかったが
指示通りそこらじゅうボタンを押したら復旧した。

今回エレベーターの警報音は老人の所為だと感じていたので
大声にも反応する防犯機能付きなのだと言い訳は考えていた。、
しかも本当の原因は老人が1階に着く前に
2階か3階で降りることが出来たらと
ボタンを押していたので警報の意味はすぐに納得していた。

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2013年02月16日

3回目

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またやってしまった
今日は休みで老人は片付けものをしていたがテスが騒ぐので郵便物を取りに行った。
下りはICカードは不要だから気づくのが遅れる。
降りてすぐに気が付いたがすでに遅し、ドアは無情に閉じられた。
まだ朝6時前位だったろうか、
そんな時間に誰が来ようかと諦めながらも
待つしかない局面だ。

もう少し以前ならばコーギーの散歩をこの時間にしている人がいた。
強い風にICカードが飛ばされて無くし、
結局はエレベーターの中に吸い込まれて居たのを見つけてくれた人だ。
でもコーギーを肩に担いで散歩に連れ出していたその人は
最近見ないから多分引っ越してしまったのだろう。

老人は3回目になると慣れたものでパニックにもならず落ち着いていた。
防寒具はしっかり着ていた。
テスの震えが腕に伝わってくるのが気になるが
慌てたってどうせ誰かが来なきゃレスキューされないのだと
割り切っていたからだろう。
エレベーターの存在階を示す番号に点くライトが
動くのを見ながらそんなことを思い出していた。

どのくらいたったのだろうか、
携帯ももってこなかった老人に
天の助けが来ることを示す明かりは
だんだんあがって行き9階で止まった。
しめた、誰かが下りてくる。

ドアが開いて姿が見えて老人は少し緊張した。
いつも出会った時にあまり声を出さない人だ。
でも、そんなことで躊躇する余裕はないのだ。
「すみません、カードを忘れちゃって、
お宅のカードでお願い出来ませんか。」
その人はこれだけで納得したらしく無言のまま
登りに必要なエレベーター内のパネルにICカードをあててくれた。
最初にあてた時パネルの認証サインが出ず、彼は一瞬にこっとした。
その微笑みはというより目的通りにいかなかったことへの苦笑いだった。
だが、傍で見ていた老人にとって、
いつ遭遇しても無言で無表情な、もっと言えば
声が出ないで口元が捩れているような表情しか知らないものにとっては
あのはにかんだ微笑みは彼に対する見方を変えた瞬間だと言っていい。
老人は深々と「ありがとうございます」と礼をした。
一方彼は振り向きもせずその場から姿を隠した。

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2013年02月12日

進歩のない男たち

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テスの不始末をよく話題にするが、
最近のテスは老人と2人の時は
失敗もしないし、悪さもしない。
リビングを開放してもなんら問題は起こさない。

ただ、誰かが来ると興奮するのか失敗してしまう。
失敗というより自分の存在を強調すると言うべきだろう。
以前にも中野が来たときに、やられた。

今回も中野が来ているのだが、
中野は横で可愛い顔で眠るテスを一晩見ると
もう大丈夫、自分に迷惑を掛けることはまずないと自信を見せる。
老人はテスを知り抜いているから、
と言うこと自体既に危険をはらんでいるのだが、
老人が危ないと繰り返しているのに
来沢3日目にやられてしまった。
進歩のない訪問者だが
仕方がない、始末は老人の仕事である。

パソコンのことに関しては中野におんぶにだっこだが、
こと生活の知恵に関しては、ベテランの域に入る老人だ。
風呂でさっと被害部を水洗いして
いかにもというシミを薄めて目立たないようにする。
そしてそれを干して洗濯屋に出すという手順だ。
厨房では遅い、段取りが悪い等々評判の悪い老人だが
一体、人間というものはバランスが取れているものである。

テスはちっとも悪くない、という顔で距離を置いて
一連の作業を他人事のように傍観している。
これはこれで進歩のない男である。

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2013年02月10日

救いの女神

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それは、ほんのちょっと油断したからだった。
エレベーターの中で気づいた。
セキュリティカードは玄関に残したままだった。
テスは箱から降りても震えていた。
この状況を老人のシマッタ顔で状況を理解したのか、
あるいはただ寒かっただけなのかは
不確かではあるが、確かに震えていた。
寒さ地獄から抜け出るカードを忘れたのだ。

老人も初めての時よりずっと余裕はあったが、
さてどうしたものかと思案投げ首という態だった。
というより、このビルの住人の誰かが通りかかってくれない限り
救われないのはわかっていたから。

ただ、朝と違って中途半端な午後3〜4時前後だったから
誰が救いの神になるのか、全く読めなかった。
テスをなだめながら待つこと10分前後か、
その神は姿を現した。
ダウン風コートを着て眼鏡をかけた女神だった。
エレベーター向かう彼女に
痴漢などと間違えられないように
十分気を付けて老人は声をかけた。
「すみません、カードを忘れたので一緒に入っていいですか?」
「はい」と女神は目を合わせないようにして答えた。
老人は彼女の気持ちはよくわかったので
中へ入る時に「すみません」と感謝の気持ちを込めて礼を云った。
彼女は何て返事をくれたのかは忘れたが、
落ち着いて返事を返してくれた。
彼女は変な爺さんと狭い空間にいる恐怖を感じさせない態度だった。
老人はテスと自分が救われたことよりも
その女神の凛とした態度に感激していた。
毛の序が何階かで先に降りて行く時に
老人はもう一度声をかけた。
「ありがとうございました。ありがとう。」
女神は落ち着いて言葉を返した。
「どういたしまして」
凛として、素晴らしいレディの振る舞いだった。
老人は自分とテスが助かったことも忘れ、
清々しい気分に浸った。
同席していたが、テスには理解の出来ない世界であった。
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2013年02月06日

不始末

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テスの不始末が良く話題になるが、
最近のテスは老人と2人の時は
失敗もしないし、悪さもしないし、
リビングを開放してもなんら問題は起こさない。
ただ、誰かが来ると興奮するのか失敗してしまう。
以前にも中野が来ているときに、油断して彼の部屋を開放していたら
夜具の真ん中にやられてしまった。
青年の主張ならぬ中年の主張だ。
”毎度毎度俺を置いてけぼりにしやがって“
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2013年02月05日

仰臥位

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幼少の頃のテス

テスの睡眠時の体位はお腹を上にして寝る無防備体勢だが、
前テスはそんな体勢は見たことが無いような気がする。
小さいけれど用心深いお兄ちゃんは飼い主にも100%信頼を置いてなかったのかと思うと不憫な気もするが、厳しい躾を目指す老人が壁に小便を撒き散らす前テスに厳しい折檻をしたからかも知れない。
そう思って振り返ると
前テスが不憫に思えた。
若い頃は自分の子供たちにも厳しかった老人だが、
現在の子供たちを見て、
「あまり効果は無かったな」
と昔のことを思い出していた。
そのなかで覚えているのは
恵比須が何をしたかは忘れたが、
叱られる羽目になって、
真冬の夜のベランダに締め出されたことがあった。
その当時最高の罰だったと思うが、
ロスであれば出されて鍵をかけられる直前に謝るのが常だった。
中野はどうしたか忘れたが、多分似たものだったと思う。
極寒の夜のベランダは恐怖ばかりでなく、
寒さも厳しいので早く誤った方が
被害は少ないと思うのが普通であったろう。
ところが恵比須は絶対謝らない。
時間がたっても、謝らない。
自分が出したにもかかわらず
老人は心配になり始める。
恩に着せて、「早く謝ってはいりなさいと言っても
入らない。
折檻した親がむにゃむにゃとわけのわからないことを言って
中へ引っ張り入れる。
結局、自分が詫びを入れて許して貰ったのではない。
「自分が悪いのではない」を貫き通すのだ。
兄弟3人いてそれぞれの身の処し方があるのだ。

posted by てす at 00:49| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月03日

雪国

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1月半ばから1ヶ月、本格的な北陸の冬の到来だ。
テスにはあまり関係無さそうだが、
散歩に連れて行く老人には少量の積雪はありがたい。
先日雪の積もった日に中野と一緒に散歩したが、
体の汚れが目立たず帰宅後の始末が簡単でいい。
これに対し、雪解けの道は汚れた泥と解けた雪が混ざって、
散歩に行く案をすぐに却下する理由が出来るからこれもいい。
畢竟、出不精な老人には降ろうが降るまいが
行かないから同じようなものだ。
毎日でも行きたいテスには、これも雪には関係の無いことだ。
こんな禅問答を頭で反芻しているうちに散歩のチャンスは失われる。
これもまた老人の思惑の内とは・・。
posted by てす at 23:11| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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