2012年08月29日

ある秋の日

003.JPG

老人は久しぶりに町で飲んだ昨日の酒が残っていてまだほろ酔い気分だった。
昨日は、飲み友のAさんに誘われていつもの小さい割烹で落ち合った。
そこは歓楽街からは少し外れた所にあったが、
生臭い魚を出して平気な、
よくあるいわゆる魚屋が成り上がった(成り下がった?)ような
割烹と違って板前のしての修行を積んだ人だった。
無口な板前タイプではないが、
その優しい顔とギャップのある料理は
肩肘を張らないが良質だった。

酒好きの老人には質のいい小料理屋という感じの店で
隠れ家的に使っている店だった。

Aさんはいつものように少し遅れ、店にはまだ他に客は来ていなかったので
手持無沙汰の老人はビールを飲みながら亭主と話を始めた。
間もなく外から太鼓の音が聞こえてきた。

「祭りなんですよ、うちのお母さんが世話しているんです。」
そういえば、いつも厨房で手伝っている奥さんがいなくて、
今日は奥さんと交代で来ているK子ちゃんと呼ばれる中年のおばちゃんが働いていた。
K子ちゃんはいつも自転車で来て裏口の側に倒しておくのが習慣だった。
老人が店に入るのもほとんど裏口と決まっていた。
表口は大通りに面しており、しかも交差点の近くなので
信号待ちの車から目立つ表口は帰る時にだけ利用するのを習慣にしていた。

トントントントロトンと続く太鼓の行進を亭主は嬉しそうに客に紹介しながら、
奥さんのことが気になる風にそわそわしていた。
この夫婦の子供はもう大きい筈だが、なぜだか奥さんが手伝っているらしかった。
間もなく来たAさんはいつものように出てくる料理に
持参のデジカメのアングルにこだわりながら撮っていた
ブログに乗せるためにいつも持ち歩いているハンディタイプのカメラは
何が入っているのか大きいバッグに収納されていた。
撮影はお腹がすいている時はつい一口食べた後になった。
posted by てす at 08:21| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。